百白百首15 勘違いこそ心の真実

スパゲッティのうえにかけたる粉雪はチーズの味がするという子よ 大野美波

お皿のスパゲッティに白い粉チーズがかかっているのを見て、子どもが「わあ、スパゲッティに雪がのってる」と歓声を上げました。そして、口に入れてびっくり。「雪なのにチーズの味がする」と言ったのです。

科学的、論理的には逆です。しかし、お母さんの作者は子どもの、この勘違いこそが子どもの心の真実であり、この世には別の世界があると思ったのです。

作者の住まいは埼玉県入間市。雪にはそんなになじみがない土地がらなので、雪への子どものあこがれは大きかったでしょう。食べ終わった後の子どもの口元に、赤いソースがいっぱいついている様子も浮かびました。(読売新聞歌壇2022年3月7日入選)

☆白の力を借りて自分の思いを表現した歌を「百白百首」のコーナで紹介しています。