百白百首7 宙を舞うひかり

 地に降りて水へと戻る束の間の白きひかりを「雪」と呼び合う  本川克幸「羅針盤」

「雪とは何か」の説明は、科学的なものなどいろいろありますが、定義の仕方に意表を突かれたのがこの短歌です。

晴れ間から降りだした雪片が日差しを受けてきらめいた瞬間が歌作のきっかけだったのでしょうか。その発見をした後は、鈍色の空から降り始めても同じように雪は白い光に見えたんだと思います。アスファルトに舞い降りた雪片は黒い水に変わっていくことを知ると、宙を舞っているときの白さが際立ちます。

歌を「雪と呼び合う」としめたことで、古来、雪に寄せてきた日本人の特別の感慨にも思いが至ります。

★白の力を借りて自分の思いを表現した歌を「百白百首」のコーナで紹介しています。