百白百首17 寒いほど至福のとき

寒ければたっぷりの湯にひたらせて白きゆだりの釜あげうどん  大谷善邦

 釜あげうどんはたっぷりの水でゆで、鍋ごとテーブルに移して食べるのが好きです。うどんはやや太めの乾めん。ゆで上げると、めんについている打ち粉が溶けて湯が白くなり、ぬくとさがきわだちます。

 湯気が上がる白い湯にはしを入れ、うどんをさらうときのまったり感も格別です。すくい上げた真っ白なうどんのつゆへの投入、すするときにまつげにかかる白い湯気のぬくもり、呑み込むときの喉もとのするっと感…。

薬味はなし。寒いほど、至福を覚えるときです。

☆白の力を借りて自分の思いを表現した歌を「百白百首」のコーナで紹介しています。