お手紙の中でうれしかったのは「解釈や思いのもとになった出典が記され、断定できないことは推測であるという表現になっている」という趣旨のご感想でした。元教授の方は理系分野専攻。論拠を明示することが特に求められる立場の人から読み進めやすいという言葉をもらい、ありがたかったです。
「更級への旅」は歴史をさかのぼって私が生を受けていない時代のことをたくさん書くものなので、資史料はあっても、はっきり分からないことがあります。新聞記者時代は、読者が抱くであろう疑問に答えるという姿勢で記事を作っていました。このことが、「更級への旅」を読んでくれる人にも、解釈や思いの信ぴょう性を疑われないようにという意識につながったと思いました。