主人公は、里のおじいさんの家の屋根裏に住む「たぬ平」。ぶどうの収穫時期になると、おじいさんのトラックの荷台にもぐりこみ、甘いぶどうをこっそり食べるのと、故郷の山に行くのを楽しみしています。まだ星が光る夜明け前、たぬ平は荷台で歌います。
山みち坂みち おいらたちの世界
山のともだちのにおいがする
山の畑のぶどうはとても甘くてたくさん食べたいのですが、「おじいさんのぶどうだから」と控えめにします。収穫が始まって何日かしたとき、おじいさんの畑が鼻筋の白いハクビシンの被害にあいます。ある日、遠慮なくぶどうを食べるハクビシンと出会い、たぬ平は「そんなに食べるな」といさめます。したがってくれたので喜んでいたのですが、ハクビシンをとるために仕掛けられたおりにたぬ平がつかまってしまいます。ハクビシンはたぬ平におりが仕掛けられたことを知らせていなかったと後悔し、生き延びるためのアドバイスをします。たぬ平はお得意の化ける術を使って….。動物と人間の関係といったことも考えさせられます。