生と死を量る二つの手のひらに同じ白さで雪は降りくる 中畑智江

作者の歌集「同じ白さで雪は降りくる」の中に載っている歌。最晩年の父との関係の中で詠んだものです。降り始めた雪に、左右の手の平を差し出して、雪片を受けとめている姿が浮かんできました。

生き伸びるか死ぬかの岐路というよりは、亡くなる可能性の方が高いと察しました。受けとめた手の平の雪片は、体温で溶けます。零れ落ちた涙かもしれません。

生きるか死ぬかの究極の分かれ道であっても、雪は平等に降ります。そして、それぞれの道が同じように白く染まっているさまを見たことによって、作者はいっとき慰められたかもしれません。