自分の書いたものを人に読んでもらうと、内容のとらえ直しチャンスを得ることがあります。所属している短歌結社「コスモス短歌会」に毎月、10首提出、入選歌が載った機関誌が送られてくるのですが、「今月の五首」というコーナーがあり、そこに次の歌が取られたことがあります。

電柱の向こうの白雲わが頭蓋ふれば自在に動かせるなり

部屋の窓から見える、電柱の向こうに浮かんでいた白い雲を見て詠んだものです。頭の位置を変え、目線を動かせば、止まっている大きな雲が動く―というのは発見ではありましたが、この歌がたくさんの会員の入選歌の中から抜き出されるということは全く想像しませんでした。
歌が五首列挙されただけで、抜き出した理由は書いてありません。なぜ、選者はこの歌を「今月の五首」に選んだのか気になっており、しばらくして、この歌の「電柱」は物事を進めるときの軸ともいえるなと思いました。軸が定まっていれば、問題や困難があったとしても進むことができます。問題や困難はわたしが見方や考え方をずらせば、問題や困難ではなくなるとまではいかなくても、操作や対処が可能になるということを、この歌が気づかせてくれました。
人に読んでもらい、人の評価を通すことで、自分の作品を深くよむことができました。愛唱したい短歌を単語帳に書き写しています。大半は本や新聞に載っている他人の短歌なのですが、自分のこの歌も書き加えました。
心がけ31「読者からもらうとらえ直しチャンス」もご覧ください。