この歌は山梨県の短歌結社「美知思波」の機関誌2017年8月号に掲載されていたものです。

S音とR音の繰り返しの調べが心地よく楽しいです。桜前線の北上とともに日本中が桜の花の色で染まっていく様を俯瞰しています。幹や枝を飾っている花、風に舞う花びら、地面を埋めつくした花びら…。日本の国土が、桜の花と花に寄せる人たちの思いで白く清められ、年度が新しく始まることを祝福しています。

「ささらほうさら」は山梨県や南信州で「ひっちゃかめっちゃか」といような意味で使われます。作者は山梨県の人ですから、そのことを知らないはずはないと思いますが、意味よりも音の響きを歌に取り入れることによって春先の躍動感やうきうき感を強調したようです。

☆白の力を借りて自分の思いを表現した歌を「百白百首」のコーナで紹介しています。