一度書き上げた文章を書き改めるのは難しいことです。自分ではそれなりにと思ったものであれば、余計困難です。新聞記者を目指して受講したカルチャーセンターの作文講座では、1000字ぐらいの文章を何本か書きましたが、先生の赤が入るだけで、書き直しは指示されず、自分でも書き改めませんでした。というか、書き改めることはとてもできないなあという感じでした。でも、文章作法の指摘以上に「ここはいい」というような先生の感想が励みになりました。
駆け出しの記者のころは、デスクの書き直しが当たり前でした。全部、デスクが書き直すこともよくありました。うまく書けていないと内心思っていたので、癪には障りましたが、出来上がった原稿がよければ、文句は言えないというか、感心しました。
伝わりやすさの観点からは点数が低いかもしれませんが、書いたその時点の自分らしさという観点からは、書き上げたものが100点です。その時点での自分らしさと書きたいことの伝わりやすさは、優劣はつけられないと思います。
伝わりやすさの観点からは不十分かもしれないけれど、第3者の指摘にうなづけるところあれば、その文章はとりあえずそのままにしておいて、次の文章に生かすという方がいいかもしれません。書く数を増やしていけば、かならず上達します。ある時点で、あれを書き直してみようかと思うことがあるかもしれません。