新聞記者になったとき、さかんに「切り口が大事だぞ」と言われました。意味がよく分からなかったのですが、これは「切り口を見つける」ということで、切り口が見つかると取材がはかどり、記事も書きやすくなり、取材の結果や思いを伝える大変有効な方法であることに気づきました。
新聞には事件や事故、イベントなど日々の出来事を伝える記事とは別に、取材の結果や成果を伝える読み物の記事があります。事件事故ならなぜそうした事件事故が起きたのか、社会的な問題にはその解決策はどうしたらいいのかなど、関係する現場の人、専門家らに話を聞きます。最初は答えがよく分からないので大変ですが、「この観点やテーマで質問をすれば読者に伝えるに値する記事になる」という感触が得られると気持ちは楽になります。竹を日本刀で切ったときの切り口のみずみずしさ、すがすがしさ。いつもそんな風にはいきませんでしたが、イメージはそういう感じです。
字数に制限がある新聞記事だから切り口は特に重要なのですが、これは伝えたい思いを伝えるときにも当てはまります。何字でも何枚でもと言われると逆に書けないものです。そういわれたとしても自分で字数の限度を設定した方が、伝えたい思いの切り口は見つかりやすいと思います。
「さらしな」の地名を経済や教育文化に生かそうという「さらしなルネサンス」の活動をしています。そのことを知った地元の新聞社から寄稿依頼がありました。いろいろな思いやこれまでの取り組みがあるので、新聞社の担当者に「観点やテーマを出してもらえるとありがたいです」とお願いしました。それに対して「活動の現状と思い」が返ってきました。地元の小中学校への出前授業が2年目を迎え、活動の新局面に入ったところだったので、このことを書けばいいと決めることができました。わたしにとっては「日本刀で切った竹のみずみずしく、すがすがしい切り口」でした。(地元新聞社への寄稿はここをクリックしてご覧ください