最近、次の短歌を単語帳に書き写しました。

おぼろげに思へることを確かめしたのしさもちて夜床に就かん

長野県松本市生まれの歌人窪田空穂さん(1967年、89歳で逝去)の晩年の歌です。書きたいことはあるんだけど、まだ言葉にならない、表現できない、それでも思いの種があることは、はっきりしている、今日は深追いせず、眠ってしまおう、翌朝になれば書けるだろう―というような体験を歌にしたものだと思います。この感じ、分かるようになりました。
健康生活を送るための標語に「早寝早起きあさごはん」がありますが、記者時代に取材した睡眠の専門家は、早寝と早起きの順番を逆にし、「早起き早寝あさごはん」がいいと言いました。「早起き」が何より重要だというのです。なるほどと思いました。自分でやってみたので、よく分かるのですが、早起きすると、早い時間に眠くならざるを得ません。ふだん宵っ張りだと早く寝るのは困難です。歳を取ると早起きになる理由は、早く寝るからです。
早起きするようになって、頭の中がすっきりしていることが多いのに気づきました。コンピューターによる記事の編集配信システムも夜中に稼働をいったん休止してメンテナンスを行い、朝方ふたたび稼働させています。前日に駆使した人間の頭脳も、コンピューターと同じように眠りのメンテナンスが必要で、眠っている間にいろいろなことが整理されて、考え事が関連づけられたり流れができる、そんな感じがします。