駆け出しの記者の原稿をたくさんみました。焦点が定まっていなくても、面白そうな部分があれば7割は完成だと思っていました。「ここを書けばいいんじゃないか」と指摘しました。面白そうな部分はなくても話を聞いていると、面白い部分が出てきます。「そこを書けばいいんじゃないか」と助言しました。
記者はいろいろな角度から取材し、いろいろな質問をしているので、たくさんの情報を手に入れます。その中の何を書くかという判断は、駆け出しのうちは容易ではありません。わたしもそうで、書いた原稿全体を書き直してもらったことが幾度となくあります。上司としてのデスクは、取材していないがゆえに、全体を見渡すことができ、面白い部分を感じることができます。たくさんの人へ、いくつものテーマでの取材をしてきた経験によって、全体状況をつかみ、ニュースの価値を判断する力が身に付いています。
面白そうな部分というのは、みがけば輝く原石です。どんな不完全な原稿を読んでも、そうした原石があるかどうか、それがどんな小さなものでもあって、あるかないかを直感するようになりました。原石があるのに、それをみがかないのはもったいないです。さらしな堂では、みがいて形を整えるお手伝いをしています。