新聞記事には人の話を聞いてまとめる「聞き書き」というスタイルがあります。よく目にするのは、著名人に来し方(半生)を語ってもらったり、その分野の専門家に一つのテーマで語ってもらったりするものです。わたしは、その人ならではの面白い言葉や面白いエピソードの断片をノートにメモすることを心がけました。テープ(IC)レコーダーを持参しますが、再生するのは多くは内容の確認やその人ならではの言葉の調子が中心で、ノートにメモ書きされた印象的な言葉やエピソードの断片をつないで再構成することが多かったです。まだ、記憶が濃いうちだからできたと思います。
語ってもらったことには、細部や事実関係の確認が必要なこともあるし、複数人への取材結果をまとめる記事と違って、その人が語った内容のエッセンスの全面的な紹介なので、できあがった原稿をご本人に読んでもらってOKを出してもらうこともよくありました。
来し方(半生)の聞き書きの場合は、長い時の経過があるので、いつのころの何を記事にするか、いろいろな角度から質問し、絞っていきます。著名人は過去資料があるので、ある意味で簡単ですが、資料があまりない人の場合は、結構大変です。何を記事にするか、テーマのようなものが定まれば、あとの作業は、印象的な言葉とエピソードの断片のメモ書きと基本的に同じです。まとめ方は時間順に書いていきがちです。有名人はそれでもいいかもしれませんけれど、知名度がない人の場合は、順序を工夫する必要があります。
聞き書きをしたい相手がいる場合は、語ってもらった内容をどのくらいの文字数でまとめるか自らに制限を課した方がいいと思います。無制限だと質問もテーマもなかなか定まらず、終わりが見通しにくいです。見通せないのはつらいです。