2021年8月に定年退社、閉まっていた実家の大谷商店をさらしな堂事務所に改装していましたが、年内に工事を終えることができました。大谷商店は生まれる前年に開業し、約50年、地域のみなさんにお世話になりました。正面に冠着山(姨捨山)、家の裏はすべて田んぼという立地。当時はまだ水が出るところで、家はほとんどありませんでした。人がたくさん集まるバス停があったので祖父らが商機を見出したようです。
 新潟県に入ると信濃川と名前を変える日本一長い「千曲川」がすぐそこを流れています。小さいころよく遊んだのは田んぼと堤防、河原でした。以来、半世紀。家の裏に広がる風景はほとんど変わりません。田んぼの構造改善事業が行われ、水路はコンクリートとなり生き物はなかなか見られなくなってしまいましたが、その景色にはいまも声を挙げたくなります。
 中学と高校が千曲川の向こう側にあったので、自転車で堤防を走る日々でした。現在は自転車と歩行者の専用道として整備されていますが、当時は砂利道で通る人もほとんどおらず、大きな声で歌うことも平気でした。堤防沿いは子どものころに、国道18号のバイパス敷設が都市計画決定され、今もその計画は生きています。いつまでこの景色が見られるか。
 事務所にはこれまで作ってきた本や冊子、ラミネート加工の文章などを展示しています。大きなテーブルがありますので、座ってごらんください。長年弾く人のいなかったピアノを自宅から移設しました。高校のときお世話になった地元の楽器店に調律してもらいました。間仕切りをし、会議室になる部屋も作りました。改装にあたっては、女性優先のトイレを設置しました。男性優先の小便用トイレもあります。特に冬はご不便があると思いますが、どうぞ、お立ちよりください。