さらしなの歌2

 野の景色など、さらしなの里の魅力を短歌にしています。2024年11月までの歌は「さらしなの歌1」に掲載しています。2022年冬から23年春にかけて作った歌は編集して、フォト歌集「ひかりのキャンバス」を発行。

湯気のぼる風呂の蛇口に口を寄せのどを通ったあの水はるか
たっぷりのお日さま吸ったお布団はふわふわふかふか鳥さん感謝
わたしらも叫びたいときあるんです春はもうそこ春はもうそこ
取れた角日本海へと流れこみ錆びた兵器にまとわりつくか
そうなのか月がまるくて白いのは雲がわが身を差し出すからだ
わたしなら少し明るくできるかも雪の照明掲げておきます
広重が浮世絵にしてくれたっけ良い月出たからみんなで行こう
人間の足跡ではない おじさんは「ドーナツてるの」と指さしにけり
この指で立っているんだわたしには絶対つかまえられない訳だ
お日さまが差そうとするとぽつぽつと灯り始める雪ほたるかな
まだ間に合うはじめの一筆入れるのは二本の足で歩く生き物
集まって夜通し寒さしのぐことできたのだから起こさずにおく
海原も川面も同じだれだって進んでいけば波が立ちます
このへんは長寿うやまう里だからみんなで甲羅を干しても平気
足元はダンスの後のたたずまい抱えきれないほどの花束
山上にわたしが始まる字があれば大腿筋と一緒に向かう
がんばって開拓してねお日さまは力を合わせ届けてあげる
いつだってはっきり見えはしないけどスクロールすれば止める一枚
けさも雪つもってなくて楽だけどお水たりるかにゃんか心配
斎場をあとにして見る姨捨の異名持つ山いつも神々しい
わたしたちだって負けないこんなにも広い空なら超特急
泉にはまことの姿が映るから見ている者も見られてますよ
孤高の木そう呼びたくはなったけど1本なのか5本なのか
車など恐れはしない恐れるはいのちが無駄になっちゃうことだ
いつもより多く仲間を連れてきてみんなで食事処をさがす
身の丈を知るのはなかなか難しく測ればギネス記録の身長
まだ少し残っているな棚にある切り餅焼いてあしたははぜんざい
目の前の世界を照らしている光りたくさんの色でできてる世界
倉島玲子展 ー絵が語ること…。Nostalgic Scenesー @千曲市アートまちかど ~2025年2月9日
けさはここみんなで食べる朝ごはん食べたいものを食べられるだけ
太陽が地球に届けるエネルギーぬくもり変換ここからはじまる
あの尾根の滑降さぞかし気持ちいい翼があるから間に合うきっと
一本のたすきを洗い上げました暮れの掃除に使ってください
まだ夢の中でも3人集まって浴びたい関東いちばん日
ジャイアントインパクトにより飛び散った地球素材の放出口
渡りゆくわたしにずっと付いてくる太陽の子の人懐っこさ
にっぽんの最長河川は白とりの羽ばたきを得て滞らない
半分はどこに落っこちたのだろうわたしは向こうあなたはここを
今日きっといいことがある野を見ればこんなにたくさん八の字の舞い
お日さまが沈みゆく里御麓(おんふもと)そう書き「みろく」と読ませた人いる
雪雲がたち込め暮れるこの里をいつものように見つめる瞳
ポスターに光りが差せば切り抜いた文字そのままに白いさらしな
里人のこころとからだを整える堤防道行くドクターレッド
大地震(ない)で別れた子どもに会いたくても一度抱くを夢みる親岩
大地震(ない)で落ちてしまった子がいても手足さし伸べ救えぬ親岩
やがて来る親岩と子の再会を素直に祝福できないわたし