千曲川の歩行者・自転車専用堤防道「さらしなビューライン」から見える西側の山並みの一つに三峯山(長野県東筑摩郡麻績村)があります。この写真は初夏、その山頂からちょうど反対側のさらしなビューライン方向を撮影したものです。ビューラインの東側にそびえる山並みの伸びやかさに目を奪われました。
山並みは北側に向かってなだらかに下っていきます。先端(一重山)は千曲川の流れに差し込んでいく切れ味の良さを感じます。この山並みの向こう側には、さらしな・姨捨を代表する名月の舞台、鏡台山(シリーズ104、137号など参照)を最高峰にした山並みが同じように北に向かいなだらかに続いているように見えます。さらに奥には、スキーや夏合宿の本場で知られる菅平高原の山並みが層をなしています。
月は、山の峯から顔を出し上空に放たれていく瞬間が特に美しいと思うのですが、さらしなの里で見てきたそうした月は、視点を変えると、すべてこの写真にある山々の向こう側から上ってきたことになります。シリーズ185号で、古代から京都の人たちが月がのぼる東側の連山「東山」に特別の思いを抱いてきたことを紹介しました。さらしなビューラインの東側につらなる山々を、「さらしなの東山」と呼びたいと思いました。画像をクリックすると、PDFが現れ、印刷できます。