このシリーズの146、147、158号などで、冠着山の坊城平にかつてあった信仰空間「冠着十三仏」のことを紹介してきました。周辺の尾根筋や斜面から崩落した岩など、たくさんの岩があり、それらを十三の仏様に見立てて暮らしを送っていた人たちがいたのです。
この写真は、その信仰空間を現代に生かそうと、樹木のやぶを払うなどの整備を行っているさらしなの里の住民有志たちの活動の一場面(左の写真も)です。
人が乗っている岩は冠着十三仏の少し上方にある岩で、住民有志たちはこれを「ふたり岩」と名付けました。手を振っている人とその隣にいる人の場所がちょうど2人が座れる場所があることからの命名です(十三仏はふたり岩に向かって左側の樹木の中に鎮座)。
写真で分かると思うのですが、この空間はちょうど樹木に囲まれたすり鉢のような場所で、この岩の上に座ると本当に世界は自分たちだけのものであるような感じを受けます。
さらしなの里はシリーズ162で紹介したように、恋や縁結びのエピソードがたくさんあるところです。さらしなの里を代表する山の冠着山(別名・姨捨山)にも、恋や愛、縁にまつわるスポットがあったとは本当にうれしいことです。
ふたり岩の上で手を振っている方は、さらしなの里の音楽グループ「さらしな棚田バンド」のメンバーの一人です。いずれ、「ふたり岩」という歌を作ってくれるはずです。
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