春のファンタジー

 白木蓮のつぼみ膨らみもう間もなく白い鸚鵡が百羽飛びます  古谷眞利子

 木蓮の白いつぼみは大きく、花弁はなんとも清純でふっくら、温かで、生き物のように感じることがあります。そんな印象を作者も持っていたのだと思います。花弁を広げはじめる様子が白い鸚鵡(おうむ)の姿に見えました。
 鸚鵡(おうむ)は人の言葉を話し、ペットとしても身近な生き物。そんな鸚鵡が枝からいっせいに飛び立とうする様を「百羽」と「白」に似ている漢字で表現したところが面白いです。春先のすがすがしさ、明るさのファンタジー。「飛びます」とS音で終わっているのも効果的。白い光にあふれる春の到来です。(この歌は2018年6月17日放送の「NHK短歌」で特選)