更級小学校に冠着橋調査隊

 2014年、冠着橋は新しい橋に架け替えられました。旧冠着橋はだんだんと幅が広くなって、橋をつくる日本の技術や社会の歴史、そして名付けた人、利用者の思い出がつまった橋です。地元の更級小学校の先生、町田祐介さんがそうした経緯に関心を持ち、冠着橋の架け替えを授業にしてくれました。さらしなの里友の会だより32号=2015年春=から転載、写真も町田さんの撮影です。

 見学の様子1samuneiru冠着橋。地域を学べるよい教材になると考え、担任していた四年一組の子どもたちと一緒に「冠着橋調査隊」を結成し調査することにしました。「冠着橋って、段々になっている不思議な橋だよね」と投げかけたところ、興味関心に火がつき、放課後、家族や近所の方に冠着橋の歴史や、形状の秘密などを自ら調査する子どもたち。中には、新冠着橋の工事現場で働く方々に直接聞きにいく子もいました。
 冠着橋の名付け親の小松康孝さん(仙石区)からは「戦争からもどり、故郷『更級』のすばらしさを深く感じて、故郷のシンボル『冠着山』がもっとも美しく見える場所なので『冠着橋』と名付けた」と教えていただきました。
 千曲建設事務所の方を学校にお招きし、お話をお聞きしました。その際、新しい冠着橋の工事現場を見学させていただけるという、驚きのプレゼントも。だれよりも早く新しい冠着橋に足を踏み入れさせていただけると知り、子どもたちも大喜びでした。見学会当日は、強い橋を作るための様々な工夫を教えていただいたり、実際にコンクリートを打つ様子を拝見させていただいたりしました。たくさんの方が安全を願って一生懸命働いていることを学びました。舗装前のコンクリートの下地に、チョークで橋への思いや願いも記させていただきました。
 昨年行われた新冠着橋の開通式では、雨天のため五加小学校での開催となりましたが、開通式後の渡り初めは天候が回復し、無事に行うことができました。雨で濡れているのにも関わらず、道路に大の字になって寝転び、喜びを全身で表現する子どもたち。様々な歴史や人々の想いを知るからこその姿なのだとうれしくなりました。
 子どもたちは、将来にわたり通学や通勤で何百回、何千回と新しい冠着橋を渡ることと思います。「冠着橋」の歴史や、橋にこめられた人々の願いや想い、そして、自分が感じた感動を大切に、いつまでも地域の誇りとしての「冠着橋」を大切していける大人に育ってほしいと願っています。