百白百首2 子どもは世界が友達

初雪の世界ではしゃぐ子供たち全ての白を友達にして 水沢わさび

(2023年1月17日付読売歌壇)

朝起きたら、いつもの景色がすっかり雪で覆われている。子どもでなくても見とれます。子どもはその雪世界に飛び込び、我を忘れて雪合戦をしたり、雪だるま作ったりするところが違います。

そんな光景を見て動いた自分の心を、作者が「全ての白を友達にして」と表現したことで、よくある光景の意味をあらためて考えさせられました。

登下校の小学生や散歩の幼児を見ることがあります。自我をまだ意識していない彼らは世界との境界がなく、身の周りの世界とつながっていると感じます。それは世界が友達であるということかもしれません。

隔てる壁を世界に作っていない子どもの特徴を、雪の白さの中で発見した歌だと思いました。純粋・無垢、清浄の色である白の中に、そうした子どもを配置したことで、子どもという存在のかけがえのなさが伝わってきます。